①大腸がん検診では7%程度の方が陽性になります
②便潜血精査で大腸カメラをすると30%程度の割合で大腸ポリープが、3.6%の割合で大腸がんが見つかりました。
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大腸がん検診(便潜血検査)では7%程度の方が陽性になります。便潜血検査は、2回の便を調べて1階でも陽性と判定されれば、内視鏡による精密検査を行うことになります。便潜血検査によって、進行がんの90%以上、早期がんの約50%、腺腫などのポリープの約30%を大腸カメラ検査で発見できます(臨消内科2008;23:159-165)。その結果、大腸がんの死亡率を約60%、大腸がんになるリスクを46~80%下げられることが報告されています。大腸カメラを受けることには抵抗があると思います。しかしながら便潜血検査は苦痛を伴うものでもないのに、これだけの効果がありますので是非受けていただきたい検査です。便秘で二回もすぐに提出できないという方は、便ヘモグロビン専用容器であれば、冷蔵庫保存で2週間程度は問題ないとされておりますので、容器が専用のものであるかを確認して抵抗があるかと思いますが、冷蔵庫で保存してまとめて提出してください。
なお、先述のように便潜血陰性でも大腸がんが存在することが一定の割合でありますので、基本的には1回でも陽性になれば大腸カメラをしたほうが良いでしょう。また、便潜血検査は、100%の病変を見つけられるものでもないですので、機会があれば必ず検査するようにしましょう。
☆便潜血が陽性になった場合
平成22年度消化器がん検診全国集計Ⅱ、大腸がん検診全国集計Ⅱによると、便潜血陽性で大腸カメラを施行した患者さんの3.6%で大腸がんが見つかりました。大腸がんが見つかった患者さんの70%は早期のがんで発見できますので、予後も良いものになります。また、便潜血陽性の方の約29%の方で大腸ポリープが見つかりました。ポリープのすべてが癌化するわけではありませんが、ポリープを切除すると大腸がんの発生率が低下します。大腸腺腫性ポリープを切除することで、76-90%の大腸がん抑制効果が得られることがわかっています(アメリカのデータです)。がんや、ポリープ以外の陽性者は、大部分が痔による便潜血と考えられています。炎症性腸疾患などの少し特殊な疾患によるものがありますが、大腸カメラを施行しても原因がわからないことも多いです。便潜血陽性の1/3の方はがんかポリープがあることになりますので、やはり大腸カメラを受けて頂いたほうが良いです。当院では沈静剤下での大腸カメラをしており、負担のない大腸カメラを心がけていますので、お気軽にお問い合わせください。